そもそもいいなぁと思ったもの②

もういくつか、自分の道に影響を与えたバイクがあるのだけど
昨日のアグスタF4に続きこの2002年型のYZF-R1も結構大きい。
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このモデルを初めて見たのは大学生のときで、既に二輪免許も持っていてカワサキのZRX400に乗っていたのだけれど、やっぱりどちらかと言えばネイキッドやカフェレーサーなんかが好きだった。
まだギリギリ2ストレプリカなんかが街を走っていて根強い人気があったこともあって、カウル着きのモデルは90年代の遺物的なオールドファッションなものに見えていた。(外車はまた違う印象を持っていたが。。)

で、ある日その時自分が通っていた大学に非常勤講師として教えに来ていた師が鼓の奏者とバイクの美のコラボレーション展示イベントを授業の一環で行い、そこに持ち込まれたのが当時のV-maxとこのR-1だった。
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それは結構インパクトが大きいもので、どうしてもレーサーレプリカに「〇〇ごっこ」みたいな匂いを感じて敬遠していた自分には、カラーリングも含めて一切の擬似的フレーバーから解放され純粋に鋭い走りのイメージを具現化したピュアなデザインに映った。
もちろん、商品のデザインである以上演出や多少オーバーな表現は必要だし、機能要件からの制約も機能美とは呼べないレベルで見つけることはできるのだけれど、デザインのスタートにあたって「〇〇風」を一切やめてゼロスタートを決めた清々しさを当時のヤマハに感じた瞬間でもあった。
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その後、とてもいい御縁を頂いて
それをデザインした会社でそれをデザインした人たちと一緒に働くことができたのだけど、幸いこの2002年型R1を担当した人の下で地上で一番エキサイティングな乗り物であるスノーモービルのデザインをできたり、色々な事を教えてもらった。
その中で、このヤマハのR1というのはダイレクションやインパクトが飛び抜けているというだけではなく徹底的にラインや面質を練り込んでどこから見てもロジカルで破綻の無い美しさも創りだしているのだということも学んだ。
スケッチで、クレイモデルで、線図で、、それはそれはもう、地道な作業ですよ。。
だから、どのレベルで、どの切り口で見ても美しい。
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それはだれかの進路に影響を与えるには十分な手間暇ですよね。

くろかわ

ちなみに今回の写真は当時、KodacのDC280Jという変態デジカメで撮ったもの
今見ても好きな質感